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ニュースリリース

生体液反応を再現するQCM-D水酸アパタイトセンサの販売開始 ~再生医療や新規バイオマテリアル開発を活性化~

2021/02/24

アルテック株式会社 (本社:東京都中央区、代表取締役社長:張能 徳博 (ちょうのう のりひろ)、東証一部上場: 証券番号9972、以下アルテック)は、表面解析装置分野で世界をリードするBiolin Scientific社の日本国内における総代理店です。この度、国立大学法人 長岡技術科学大学が、Biolin Scientific社の「QSense QCM-D(水晶振動子マイクロバランスーエネルギー散逸)分子間相互作用解析装置」用の「QCM-D水酸アパタイトセンサ」を開発したことで、アルテックが製品化し販売を開始いたします。

「QCM-D水酸アパタイトセンサ」の概要

生体分子間の相互作用を測定する装置Biolin Scientific社「QSense QCM-D(水晶振動子マイクロバランス-エネルギー散逸)」は、バイオフィルム形成反応や血液反応など、生体液と材料の反応をリアルタイムで解析が可能です。最近、再生医療、歯科、整形外科などの水酸アパタイトの研究においても、QSense QCM-Dが求められており、例えば、骨疾患の治癒も実現する骨補填剤として水酸アパタイト粒子が実用されていますが、その表面反応については解明されていません。このような背景を受けて、国立大学法人 長岡技術科学大学は、生体に最も類似した水酸アパタイトナノ粒子を新規合成し、繰り返し使用が可能な「QCM-D水酸アパタイトセンサ」を開発しました。

「QCM-D水酸アパタイトセンサ」の説明

シーズ技術「生体に最も類似した水酸アパタイトナノ粒子を合成してQCM-Dセンサに被覆する技術」を確立した「学:長岡技術科学大学 大学院工学研究科 准教授 多賀谷基博、博士課程2年(日本学術振興会特別研究員DC)山田 翔太」とQCM-D装置を取り扱う「産:アルテック」において、QCM-D水酸アパタイトセンサとして製品化しました。このQCM-D水酸アパタイトセンサは、タンパク質吸着や細胞接着の測定を行い、生体に類似した水酸アパタイトであることを確認し、繰り返し使用も実現しました。生体液で起こる反応を体外で再現できるため、再生医療や新規バイオマテリアル開発を活性化させる分析ツールとなります。

本研究成果につきましては、Nature Publishing Group (Polymer Journal, vol.47, PP. 599-608(2015)) で公表され、日本セラミックス協会第33回秋季シンポジウム(講演番号: 1E16、発表日:2020年9月2日) でも発表されました。

今後の展開

「QCM-D水酸アパタイトセンサ」は、再生医療や新規バイオマテリアルの開発を活性・加速化させるものと期待されています。従来、水酸アパタイト系素材を開発した場合、タンパク質・細胞実験および動物実験を経て臨床治験へ展開しており、実用へ至るまでには時間が長期にわたりましたが、今回のQCM-Dセンサへ開発材料を被覆すれば、細胞と開発材料の界面物性を生体外で数値化でき、つまり、生体安全性を予測できるため、実用までの期間がかなり短縮されます。つまり、医療用材料の実用までの研究期間を短縮する分析ツールといえます。更に他の生体内鉱物を模倣合成してQCM-Dセンサへ成膜し、幅広く研究利用が可能な分析ツールとしての実用展開を検討しています。
今後、国内市場はもとよりBiolin Scientific社の販売網を使用してワールドワイドに拡販する予定です。