トランプ氏「マスクは大賛成」 態度を転換

President Trump

画像提供, Reuters

画像説明, トランプ大統領はこれまでマスク着用を避けてきた

アメリカのドナルド・トランプ大統領は1日、これまで公の場での着用を避けてきたマスクについて、「人と接近する状況では」着けると表明した。

保健当局からのマスク着用の勧告を拒否してきたトランプ氏に対しては前日、身内の共和党議員からも、率先して着用するよう求める声が出ていた。

トランプ氏は米FOXニュースの番組で、「マスクには大賛成だ」と述べた。

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自ら着用するかと問われると、「人と接近する状況ではそうする。もちろんだ」と返答。これまでも、人前でマスクを着けたことがあると話した。

また、公の場での着用は「何ら問題ない」とし、マスクを着けた自身は米テレビ番組や映画「ローン・レンジャー」の主人公のようで、「まあまあ好きだ」と述べた。

義務化する考えは示さず

トランプ氏は同時に、新型コロナウイルスの感染症COVID-19の流行を抑えるのに、全米でマスク着用が義務化される必要はないとの考えも強調した。

「国内には人々が距離をたっぷり取っている場所もたくさんある」とし、「望むなら着用すればいい」と述べた。

米疾病対策センター(CDC)は4月以降、新型ウイルスの感染対策として、公共の場所ではマスクや布で顔を覆うよう推奨している。

ただトランプ氏は、そうした推奨に応じるかは個人の選択だと、繰り返し述べている。

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米ABCニュースと調査会社イプソスによる先週の世論調査では、前週の外出時にマスクかフェイスカバーを着けたと答えた人は89%に上った。4月中旬に比べ、20ポイント跳ね上がった。

アメリカでは多くの州で、新型ウイルスの新規感染者が急増している。

累計の感染者は260万人以上、死者は12万7000人以上確認されている。

マスクを着けない理由

トランプ氏のマスク非着用について政権スタッフは、トランプ氏および同氏と接触する全員がこまめに検査を受けているとして擁護している。

トランプ氏は先月、米紙ウオール・ストリート・ジャーナルで、マスクを着けている人の中には同氏への反対姿勢を示すことだけを目的にしている人もいると述べた。

5月にミシガン州の工場を訪れた際には、「メディアを喜ばせたくない」ため、カメラの前に立つ前に、それまで着けていたフェイスカバーを取ったと記者団に話した。

マスク着用に反対する市民らの集会は、感染が急拡大しているテキサスやアリゾナを含む、いくつかの州で起きている。

今月3日にサウスダコタ州マウントラシュモアで予定されている、トランプ氏出席の独立記念日のイベントでは、マスク着用も社会的距離の確保も命じられない。

「身内」からも圧力

最近になって、共和党や保守系メディアも、トランプ氏にマスク着用を求め始めている。

政府のCOVID-19対策本部を率いてきたマイク・ペンス副大統領や、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務、ミット・ロムニー上院議員、リズ・チェイニー下院議員らは、国民にマスク着用を強く呼びかけている。

トランプ氏の娘で側近のイヴァンカ・トランプ氏も、公の場でマスクをしている姿が確認されている。

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ラマー・アレクサンダー上院議員(共和党、テネシー州)は6月30日、「命を救うこの単純な行動が政治議論の一部となってしまった。トランプ支持ならマスクは着けないし、反トランプなら着ける、というように」と述べた。

20州近くがマスク義務化

同じ日、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は、国内の新型コロナウイルスの新規感染者が1日あたり10万人になる恐れもあると議会で証言。

感染拡大について、「現時点で制御できていないのは明らかだ」と述べ、マスク着用と社会的距離の確保を実行している米国民は、十分な数に達していないと警告した。

最近の感染者急増を受け、多くの州が経済活動などの再開計画を停止か逆戻りさせている。公共の場でのマスク着用を義務化したのは20州近くに上る。

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