KDDIがカブコム証に出資を検討、事業多角化を加速へー関係者
谷口崇子、Dave McCombs-
出資額は最大1000億円規模の可能性、出資比率5割弱との報道も
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東証はカブコム証株の売買一時停止、再開後はストップ高水準の気配
KDDIは、東証1部に上場するカブドットコム証券に出資する方向で調整に入った。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者によると、出資交渉はまだ継続中だという。KDDIの出資検討については、日本経済新聞が電子版で先に報じた。報道によると、出資額は最大1000億円規模に達する可能性があり、出資比率は5割弱になる見通し。KDDIは株式公開買い付け(TOB)でカブコム証株を取得すると報じている。カブコム証の筆頭株主の三菱UFJ証券ホールディングスは、引き続き同社株を保有する見通しだという。
政府による携帯電話料金引き下げ圧力や、楽天の携帯電話事業参入など厳しい事業環境を背景に、携帯大手は事業の多角化を急いでいる。KDDIはインターネット専業のじぶん銀行に50%出資しているほか、18年1月に大和証券グループ本社と合弁で資産運用子会社を設立するなど、金融分野が注力領域の一つとなっている。
カブコム証の直近の業績はさえない。2018年7-9月期の営業利益は16億円と3四半期連続で減少となり、12年10-12月期以来の低水準に沈んでいる。
ブルームバーグのデータによると三菱UFJ証券HDはカブコム証の52.1%を保有している。報道内容に対し、KDDIはカブコム証と「金融事業においてさまざまな可能性を検討している」とのコメントを発表。カブコム証もKDDIとさまざまな協業の可能性を検討しているとのコメントを出した。三菱UFJ証券HD広報担当の市橋浩司氏は「決まった事実はない」と話した。
東京証券取引所は報道を受けて、公開買い付けに関する不明確な情報が報じられているとし、カブコム証株の取引に対し注意を喚起し売買を停止したが、12時21分に再開。午後1時7分時点の気配値は462円とストップ高水準。KDDI株は一時前日比1.5%安の2668.5円。