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コロナショックで被った株の損失80億円-「トンピン」こと山田亨氏

更新日時
  • テリロジー、富士興、天昇電株などの保有比率を削減ー報告書
  • ツイッターには忠実なフォロワーがいる半面、批判コメントも

先週、株式市場の一部で、ある個人投資家のポジション縮小が話題になった。ツイッター上で@Tonpin1234の名で知られる個人投資家の山田亨氏が提出した24日付の財務省の変更報告書(報告義務発生日17日)によると、大株主になっているネットワーク関連企業、テリロジーの株式の同氏保有比率が13%から2.7%に激減した。

  山田氏は投資歴27年のベテラン。中国の政府系ファンドで日本株を担当した後、香港のファンドで運用を経験し、2013年からは個人投資家として国内で活動する。資金の大きさもさることながら、投資銘柄を自身のツイッターで公開し、こうした銘柄に「イナゴ」と呼ばれるデイトレーダーが群がることから影響力のある投資家として知られる。

  ブルームバーグが山田氏のツイッターアカウントに直接アクセスを試みて保有削減の理由を尋ねたところ、「新型コロナウイルスの感染拡大による訪日外国人の減少による通訳サービスの激減と、延期になった五輪関連の受注が影響を受けるため」と返事があった。これ以外にも同氏は、不安定な原油価格を背景に石油製品販売の富士興産株の保有を減らし、自動車業界の鈍化を理由にプラスチック製品を製造する天昇電気株のポジションを落とした。

保有公表銘柄の株価の推移

  新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにした株の急落は多くの投資家に傷を負わせた。同氏も例外ではなくこの1カ月間で「資産450億円のうち概算で約80億円程の損失」になったという。山田氏は、一般的に大型株より流動性が低いとされる小型株の一定比率を中長期的に保有し、企業価値向上を提案している。あとになって振り返れば、いまが底値となるのかもしれないが「流動性のある時に売却したい物は処理しなくてはいけない」というリーマンショックに学んだ教訓に従って、保有株の削減に踏み切った。

  同氏は株式市場の見通しを、日経平均株価は3月末まで1万9000円前後を維持した後に下落するとみる。4月から始まる3月決算企業の業績発表では、来期減益や減配などのネガティブなニュースが続き「実際に悪い数字を目の当たりにすると売らなくても買いにくい」という流れが続く。その後、新型コロナウイルスの拡大が収束に向かえば、「あまり実体経済に影響されないJRや航空会社などがまずは値を戻す」と予想する。

  同氏のツイッターをフォローするのはファンばかりではない。自身の影響力を利用し、売却する前に株価をつり上げているのではないかと批判するフォロワーもいる。コメント欄には、同氏が投資する銘柄の画像とともに「あおり屋さんにも注意が必要ですね」といった内容もみられる。だが、山田氏は「日本人は負けたら他人のせいにする方が多いなと言う印象」とこうした批判を冷静に受け止めている。

(第4段落を加筆し、写真を追加しました。)
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