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南ア、新たな変異株出現で深刻な第4波懸念-世界に広がる恐れも

更新日時
  • 「B.1.1.529」に関連する感染をこれまでに約100件特定
  • 隣国ボツワナでもワクチン接種済みの人から検出

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南アフリカ共和国では、最近特定された新型コロナウイルスの新たな変異株を科学者が調査している。拡散すれば南アは深刻な感染第4波に見舞われ、世界にも拡大し得るとの恐れが強まっている。

  世界保健機関(WHO)がギリシャ文字を付けるまでは「B.1.1.529」と呼ばれる同変異株には異例に多い変異が生じており、これまでの例と「極めて明確に異なっている」と、生物情報学を研究するトゥーリオ・デ・オリベイラ氏が25日のブリーフィングで説明した。同氏は南アの大学2校で遺伝情報の配列解析機関を運営する。

  南アのファーラ保健相は「深刻な懸念をもたらす変異株だ」と同じ場で述べた。

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  ウイルス学者らはこの変異株に関連した感染件数を同国でこれまでに100件ほど特定したと、南ア国立感染症研究所(NICD)のアン・フォン・ゴットバーグ氏は明らかにした。WHOの当局者は会合を開き、この変異株について協議した。

  隣国ボツワナでも見つかっており、同国のコロナ対策タスクフォースの調整官ケレン・マスプ氏は、ワクチン接種済みの人々から検出されたと資料で説明した。

  英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)遺伝学研究所のフランソワ・バロー所長によると、「B.1.1.529」は免疫不全の人の慢性感染の過程で進化したとみられ、治療を受けていないHIV感染者だった可能性がある。南アのHIV感染者は820万人と世界最多。免疫不全の人にはウイルスがより長くとどまり得るため、同国のコロナとの闘いを難しくしている。

  デ・オリベイラ氏は以前、南アで昨年特定されたベータ変異株がHIV感染者から広がった可能性を指摘していた。

  南アで完全なワクチン接種を終えた成人は約35%にとどまっている。他のアフリカ諸国の状況はさらに深刻で、アフリカ大陸全体では人口の6.6%にすぎない。

  南アのコロナ感染者は再び急増しており、25日の新規感染者は2465人だった。過去2日間は900人を下回っていた。陽性率は6.5%に上昇した。新規感染者のうち2000人近くは、ヨハネスブルクとプレトリアがある人口最多のハウテン州だった。

  デ・オリベイラ氏はその後、同国で検出されたゲノムの75%を「B.1.1.529」が占めているとツイートした。

原題:New Coronavirus Variant a ‘Serious Concern’ in South Africa (4)(抜粋)

(ボツワナ当局者の発言や専門家の分析を追加して更新します)
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