抗がん剤「トレアキシン®」、日本で製造販売承認を取得

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、日本でシンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、社長:吉田文紀、以下、シンバイオ社)とライセンス契約を締結している抗がん剤「トレアキシン®」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)について、再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫ならびにマントル細胞リンパ腫を適応症として製造販売承認を取得した、と発表しました。

本剤は日本において、シンバイオ社が開発および製造販売承認の取得をし、当社が独占的に販売をすることになります。本剤は当社にとって日本における抗がん剤の第一号製品となります。

「トレアキシン®」は、アルキル化剤が有するナイトロジェンマスタード骨格と代謝拮抗剤様構造を有することが示唆されている新しいタイプの新規抗がん剤です。本剤は、日本の臨床試験において優れた有効性が認められ、高い奏効率および長期の無増悪生存期間が認められました。特に、再発のマントル細胞リンパ腫に対する単剤投与において、高い完全寛解率が認められました。また、主な副作用は、骨髄抑制、悪心、嘔吐、感染症、血管炎・血管痛などが報告されていますが、管理可能で忍容な安全性プロファイルを示しています。

当社は、本剤に関してシンバイオ社と2008年8月に日本における共同開発および販売に係る独占的ライセンス契約、2009年5月にはシンガポールおよび韓国の2カ国を対象とした開発・販売に係る独占的ライセンス契約を締結しています。シンガポールでは当社のシンガポール子会社Eisai (Singapore) Pte. Ltd.が低悪性度非ホジキンリンパ腫および慢性リンパ性白血病の治療剤として「Symbenda®」の製品名で2010年9月から販売を開始しています。

日本では、現在適応追加をめざし、再発又は難治性の中高悪性度非ホジキンリンパ腫および未治療の多発性骨髄腫の第Ⅱ相臨床試験をシンバイオ社が実施しています。

当社は、がん領域を最重点領域と位置付けており、日本での抗がん剤第一号製品となる「トレアキシン®」に続き、乳がんに係る適応で申請中の当社創製の新規抗がん剤「エリブリン」(一般名)など、今後、日本におけるがん関連疾患領域の製品の充実化をはかり、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足に一層貢献してまいります。

以上

[参考資料としてベンダムスチン塩酸塩、承認概要を添付しています]

<参考資料>

1.ベンダムスチン塩酸塩について

ベンダムスチン塩酸塩は、旧東ドイツのイエナファルマ社により合成された抗がん剤で、現在、欧州の各国において、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病などの治療剤として、「Ribomustin®」または「Levact®」の製品名で販売されています。米国では、慢性リンパ性白血病および再発性B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療剤として「TREANDA®」の製品名で販売されています。

本剤は、シンバイオ社がアステラス・ドイッチラント社(本社:ドイツ、ミュンヘン<旧、アステラス・ファルマ>)より、日本、中国、韓国、台湾、シンガポールにおける開発および販売についての独占的権利を取得しています。

当社は、本剤に関してシンバイオ社と2008年8月に日本における共同開発および販売に係る独占的ライセンス契約、2009年5月にはシンガポールおよび韓国の2カ国を対象とした開発・販売に係る独占的ライセンス契約を締結しています。

2.「トレアキシン®」の承認概要

※左右にスクロールできます

製品名: トレアキシン点滴静注用100 mg
一般名: ベンダムスチン塩酸塩
効能・効果: 再発又は難治性の下記疾患
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫
用法・用量: 通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120 mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。