カニに催眠術をかけ、サメの目を欺く。イカの驚くべき擬態能力
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 イカやタコなど、頭足類のスペックが半端じゃないということは、カラパイアの読者ならみんな知っているはずだ。

 あんなにおいしくなければ人間という最大の天敵から逃れられたのにと思うと、複雑な気持ちになるが、今回はコウイカ科の中でも世界最大種とされるコブシメの登場だ。


 イカの中でも最上級の擬態能力を持つコブシメは、カニに催眠術をかけ動かなくなったところを捕食するという驚くべきスキルをもっている。

 更に天敵であるサメの目を逃れる為に、周りの景色と同化するように擬態し、一瞬にして消え去るというのだ。

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Cuttlefish Hypnotises Prey | Blue Planet II | BBC Earth獲物に催眠術をかけ、動けなくなったところを捕食 カラフルなサンゴ礁や熱帯魚が溢れるインドネシアの海の中で繰り広げられるドラマが、そBBCの自然ドキュメンタリー番組『Blue PlanetⅡ』で紹介されている。

 コウイカ科の中でも最も大きなサイズで、外套長50センチ以上とされるコブシメ(Sepia latimanus)は、カニを捕食するためにその特殊能力を使用する。

 コウイカ科のイカの皮膚には、絶えず変化する色やパターンを作り出すことができる何百もの色素細胞が含まれているが、それを使ってカニに催眠術をかけるというのだ。

 狙いをつけたカニにゆっくり近づくと、コブシメはカニに見せるように皮膚を変化させていく。


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 奇妙なビームのように発せられる色のパターンに、カニはすっかり惹きつけられてしまうようだ。

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 催眠術にかかって身動きがとれなくなったカニを一気に捕食するコブシメ。

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周囲と同化しサメの目を欺く 番組では、コブシメが敵とするサメから身を守るために、そのユニークな擬態スキルを使用する姿も紹介されている。

 たとえ狩りの途中であっても、コブシメは自身より大きなサメが出てくればサッと皮膚の色を変え、周りの景色に溶け込み、サメの目を欺くのだ。

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 瞬時の擬態により消え去ったように見えるコブシメ、サメは気付かずにそのまま泳ぎ去っていった。

 コウイカ科のイカは、このように捕食者の目を欺いたり獲物を捕えたりするために擬態スキルを使用する他、求愛時にも用いるようだ。


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 独特のパターンで獲物を催眠術にかけるというイカの恐るべしテクニックに、人々からは「色の変化を見ていたら自分もなんだか暗示にかかった気がした」「イカもタコも海のエイリアンって感じ」「コブシメは海中生物の中でも最も素晴らしい生き物だと思う」「美しい」といった声が寄せられている。

 ちなみにコブシメは日本だと沖縄諸島に生息し、アオリイカと並ぶ高級イカとして食されているそうだ。

written by Scarlet / edited by parumo

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