乗客が新型コロナウイルスに感染したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を運営する、米国の船会社「プリンセス・クルーズ」が接岸する横浜・大黒ふ頭で11日、3日から検疫下にあり、船の滞在を余儀なくされている約3600人の乗客にエールを送る船が相次いで現れた。

まず正午すぎに「頑張れ! ダイヤモンドプリンセス」と書かれた横断幕を船体に張った船が、停泊しているダイヤモンド・プリンセスに接近し、海側の窓がある部屋の乗客に、横断幕を見せるかのように進み、その後、離れていった。

続いて午後12時40分ごろ、小さな船がダイヤモンド・プリンセスに接近した。船には、特撮戦隊もののような赤いスーツとマスクを着用した人物が乗っており、ZARDの「負けないで」を大音量でかけながら、ダイヤモンド・プリンセスの周辺を繰り返し、周回し続けた。赤いスーツを着た人物は、時折、船に向かって右手を大きく振っていた。

ダイヤモンド・プリンセスの全乗客は、5日朝から自室での待機を命じられ、この日で1週間を迎えた。前日10日に新たに65人の感染者が確認されたことを受けて、大黒ふ頭には救急車が相次いで乗り入れ、サイレンが鳴り響き、ものものしい雰囲気となった。

正午の船内アナウンスでは、65人の感染者のうち32人が救急搬送されたことが乗客に伝えられた。また夕方には、船内で飲む真水の精製などの作業のため、3日に大黒ふ頭周辺に停泊してから3度目となる、外海に出る予定も伝えられた。

午後1時10分ごろには、大型のバスも乗り入れ、船の近くに待機した。【村上幸将】