AIで画面からソフト設計書を逆生成
ソフトウエア開発のシステムインテグレータは、人工知能(AI)が業務ソフトや電子商取引(EC)サイトなどの画面を画像認識し、設計データを逆生成するサービスを開発した。ソフトのメンテナンスのために設計書を作っておきたいというニーズは強い。システム開発の効率化を進め、IT(情報技術)企業の人手不足を解消する商品としてPRする。
ソフトウエア開発の作業は通常、システムエンジニアが表計算ソフトのエクセルなどで設計書を作成し、それをもとにプログラマーがプログラミングする。しかし、最近ではスピードを重視して設計書を作らずに細かい開発を繰り返したり、仕様変更を重ねて元の設計書とソフトの内容がかけ離れたりして、きちんとした設計書が存在しないことが多い。
システム管理者からはメンテナンスのために設計書を持っておきたいという要望があるが、人の手で設計書を作り直すのには時間がかかる。
同社が開発した「デザイン・レコグニション・AIサービス」は、AIを活用し、実際の画面から値を入力するテキストボックスや選択に使うボタンなどの設計部品を検出。文字や位置を画像認識し、設計データを逆生成する。稼働しているシステムの画面から最新の設計書を生成でき、作業時間も大幅に短縮できる。
紙に手書きで書いたイメージを画像として取り込み、電子データにすることもできる。IT業界だけに限らず、住宅をカメラで撮影してドアや窓、壁などを検出し、間取り図を作成するなどの活用法もあるという。
同社は新サービスについて特許出願しており、2018年3月7日に発売する。
コンピューターを使ってソフト設計書の作成作業を効率化する同社の設計ツール「SIオブジェクト・ブラウザー・デザイナー」と組み合わせることで、設計情報をもとにメンテナンスを機能的に行うことができ、両サービスにより18年度からの3年間で約3億円の売り上げを見込む。
同社の担当者は「システム開発の現場は人手不足感が強まっており、ソフトの改修などの作業効率を高められる商品として販売に力を入れたい」と話している。
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