「顔パス」コンビニ セブンとNECが実験店舗
セブン―イレブン・ジャパンは17日、NECと組んで無人レジのコンビニエンスストアを開いた。顔認証技術を使って、入店や会計時に利用者を特定する仕組みなどを導入。小売業で人手不足や人件費の上昇が続くなか、IT(情報技術)を活用して店舗の運営効率を高める。
東京都港区の「三田国際ビル」の20階に同日、NEC従業員だけが利用できるセブンイレブンを開業した。セブンとNECが共同で手掛ける省力化コンビニの実験店だ。
まず入店するのに顔を登録すると、店舗の入り口に備え付けたカメラが識別して自動扉が開く。顔認証は一瞬で終わり、入り口で立ち止まる必要がない。社員証をかざして入店することもできる。
売り場面積は26平方メートルで通常のセブンイレブンの1割強の大きさ。ここで弁当やサンドイッチ、いれたてコーヒーなど約400品を販売する。
店にはレジ端末がなく、代わりにあるのがモニター画面とバーコードの読み取り機。客が自ら商品を読み取り、モニターのカメラで顔認証をするか、社員証をかざせば会計手続きが終わる。支払いは給与天引きで、現金などで実際に決済する手間を省いた。
セブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は同日、都内で開いた記者会見で「利用客の限られた商圏に出店するときに活用したい」と話した。オフィスや病院、工場内などで運営する店舗での導入を目指す。
今回の実験店ではレジ以外でも省力化を進めた。発注では人工知能(AI)が需要を予測する。天候や過去の実績をもとに推奨する注文数を計算して表示する仕組みで、すでに約30店で実験しているという。
あらゆるモノがネットにつながるIoTの技術も導入した。冷蔵ケースなどの機器を遠隔で監視する。実験店では店員は商品陳列や接客などを担う。レジを無人にするなどの省力化により、最低2~3人必要だった店員を終日1人にする。