住友林業、600億円規模の森林ファンド設立 10社が出資

住友林業は10日、米国で森林運営に投資するファンドを設立したと発表した。ENEOSや日本郵政など10社が出資し、資産規模は約600億円。クレジット(排出枠)の創出を目的とする森林ファンドとしては世界最大級とみられる。二酸化炭素(CO2)の吸収量などを売買し、新たな森林経営のビジネスモデルをつくる。
同日記者会見した住友林業の光吉敏郎社長は、「森林経営のノウハウを活用して経済と環境面それぞれで持続可能な事業を展開していく」と述べた。ファンドの運用期間は15年間。27年までに北米を中心に約13万ヘクタールの森林を購入する。同社の子会社である米イーストウッド・フォレスツが森林保全を担う。植林や下刈り、間伐などを通じてCO2吸収能力を高める。
森林管理でCO2吸収量を増やした分と、ファンド組成により伐採を免れた分を炭素クレジットにする。年平均100万トンのクレジットを創出する計画だ。出資会社は間伐材の売却といった木材流通などによる収益を得られるほか、クレジットの還元を通じて事業で発生するCO2排出量を削減できる。
住友林業は現時点で国内外合わせて約29万ヘクタールの森林を保有しており、30年には50万ヘクタールまで引き上げる計画だ。今後はオセアニアやアジアなど他の地域でも森林を取得する。光吉社長は「小規模のスタートになるかもしれないが中長期的には日本国内でも森林ファンド組成を検討していく」と話した。