虐待を受けるなど家庭や周囲の大人を頼れない若者に、深夜から未明にかけての居場所を提供している支援団体がある。NPO法人サンカクシャ(東京都豊島区)で、繁華街で犯罪に巻き込まれるリスクを減らす狙いだ。深夜・未明の提供は珍しく、若者の寂しさを埋める大切な場所になっている。(五十住和樹)
◆月2回、夜10時から朝5時まで
「ほぼ毎回来てる。雑談が楽しい」。東北地方出身の男性(22)が笑顔を見せた。サンカクシャが月に2回、夜10時から朝5時まで開く居場所「ヨルキチ」(同区上池袋4)。ビルの一室でカレーの香りが漂う20畳ほどのリビングでは、数人の若者が漫画やゲームを楽しんだり、話し込んだりしていた。
男性は両親から暴力を受け続け、昨年末にリュック一つで家出。東京・上野のネットカフェで過ごしたが所持金が尽き、約2週間公園で野宿した。「丸5日間水だけ」という時にネットで同法人を知り、「ここなら頼れる」と運営するシェアハウスに入った。今は仕事を探しながら劇団に入り、「役者になる夢に一歩近づいた」と希望を語る。
別の男性(20)は高校を中退し「親とは暮らせない」と家を出て友人宅などを転々とした。ヨルキチは「新しい仲間ができる良さがある」。今年5月から同法人のシェルター(個室)で暮らす男性(17)は雑談やゲームが楽しみだといい「精神障害で退院後に頼れる場所がなくて。自分にとってはとても大切な場所。本当に助かる」と振り返った。
◆支援が途切れる課題を痛感
サンカクシャは2022年3月から、午後2時~9時の居場所を開設した。同10月に試験的に夜も開くと日中より多く若者が集まり...
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