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武田総務大臣、大手値下げと乗り換えハードル撤廃で「MVNOに一番恩恵ある」

 武田良太総務大臣は12月1日、定例の記者会見において、一部で報道されたNTTドコモの値下げ報道や、先日来続く携帯電話の料金引き下げ論についての質問に答えた。

ドコモ値下げ報道に

 「ドコモ値下げ報道」について問われると、「コロナ禍において家計への負担がのしかかる通信料について、国民が軽減されたと実感を味わえる環境を作って欲しい」と求めた。

「MVNOに一番恩恵ある」

 武田大臣がここ最近発言する「料金引き下げ」は、コロナ禍という現状を踏まえ、公共性や社会への還元として、携帯各社に対応を求める格好となっている。

 現状では、いわば大臣の鶴の一声で動かそうとする形だ。しかし何らかの制度が伴わないまま、大手3社の値下げが先行すれば、新規参入の楽天モバイルや、割安な価格で提供してきたMVNOへの影響は避けられないのではないか、その結果、大手3社の寡占化を後押しすることにならないだろうか。

 そうした疑問に武田大臣は「大手3社の寡占化を後押しするわけはない。この異常な環境を正常化するために努力している。MVNOが犠牲になるという指摘だが、とんでもない。乗り換えにともなう全てのハードルを取っ払おうとしている。一番の恩恵はMVNOの皆さんに来る」と力説する。

武田大臣
「恩恵を被るのは、すぐにくる。それによって、初めて公正な市場競争が生まれる。政治や行政の力で値段を上げ下げするのは適切ではない。当たり前の競争原理が働く市場、その環境をいかに作るか。そのためには、目に見えないわかりにくい障害を取っ払うことが一番の近道だと判断している。MVNOに一番恩恵がある道だと確信している」

「中途解約金9500円→1000円以下」、実態を隠している

 27日の会見で、武田大臣は「1万5500円」(解約金9500円、MNP転出手数料3000円、新規契約手数料3000円と見られる)という金額を掲げて、乗り換えへのハードルと示した。

 だが、たとえば解約金9500円は1000円以下にするよう制度が変更され、携帯3社はそれに対応したプランを導入済み。たとえばauやソフトバンクはすぐ解約金が下がった新プランへ切り替えられる。ドコモのみ新プランへの切り替えはすぐできるが、それまで使っていたプランの更新月まで解約金9500円という設定が維持される。

 またMNPについてはすでにMNP手数料の無料化に向けた方針が、総務省も打ち出している。

 課題はある。しかし対策が打ち出されている点を、なぜ11月の会見であらためて提示したのか――その点を問われた武田大臣は、質問した記者に「走ってる政策だと思いますか?」と語りかける。

 その上で、武田大臣は、「(現在の対応は)ある意味まやかし。2019年の法改正以前に契約した人に、(9500円の解約金を安くするプランは)適用されず、何の特典もない。そんなのってあり得ますか? それをどこの会社も言わない。本当の実態を隠して、表のきれい事で国民を欺いている。そこをちゃんとやって『制度改革』と言える。ほとんどの人が恩恵を預かれない制度は改革と言えない」と気色ばみながら答えた。