エクスモーション・渡辺博之社長に聞く:ISIDと業務提携し次世代自動車開発支援ソリューション共同開発へ

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2023/9/20 9:00

 エクスモーション(4394)は自動車をはじめ、ロボット、医療機器などに利用される組込みソフトウエアの設計において、品質支援のコンサルティングを展開している。9月6日には電通国際情報サービス(=ISID、4812)と業務提携し、今後、「Over The Air技術(OTA)」の普及を見据えた次世代自動車開発支援ソリューションの共同開発を進めていくと発表した。ISIDとの提携について渡辺博之社長=写真=に聞いた。

 ――ISIDとの提携の背景について教えてください。

 「近年の自動車はコンピューター制御によるさまざまなシステムを搭載し、各部にソフトウエアが組込まれています。さらに、今後、自動運転やEV(電気自動車)の普及とともに、ソフトウエアのウエートはより高まっていくでしょう。このような状況から、自動車業界は従来のメカ、エレキ先行から、『ソフトウエアファースト』にシフトしつつあります。これは、自動車関連機器の開発に当たり、ソフトウエアを先行して開発・実装し、ソフトウエアの更新で価値を高めていこうというものです。ISIDはハードウエア設計領域のソリューションとシステムインテグレーションに強みがあり、当社はソフトウエア開発領域において高度なノウハウと豊富な実績を持っていることから、今回の提携では両社の得意分野を生かして自動車の開発課題の解決に寄与できるワンストップソリューションの開発・提供を目指します」

 ――具体的な内容はどんなものですか。

 「当社の得意とするソフトウエア開発のコンサルティングサービスから、ISIDの開発支援システム構築・導入までをワンストップで提供します。ISIDには多くのソリューションがあり、その中でまずはPLM(製品ライフサイクル管理)/ALM(アプリケーションソフトウエアのライフサイクル管理)ソリューションに、当社のソフトウエアの開発手法を組み入れることに取り組みます。これにより、同ソリューションの機能強化とともに、優位性を高めることができます。さらに、ISIDには強力な営業組織もあり、各自動車会社にアプローチをすることができるため、幅広い顧客の獲得が期待できます。当社はコンサルティング会社なのでビジネスモデルはフロー型ですが、今回の提携ではノウハウを販売する形になり、将来的にストック型の収益獲得も見込めるでしょう」

 ――その他の提携事業はいかがですか。

 「ISIDの事業と当社の事業はかぶらず、共同で事業展開することにより、お互いのノウハウがより生きる状況が生まれます。『ソフトウエアファースト』を掲げることで、自動車開発ではこれまでと異なる人材の必要性が高まっています。その中で、ISIDの教育メニューと、当社のソフトウエア開発人材育成ソリューションを組み合わせ、次世代人材のスキル定義、ハードウエアエンジニアからのキャリアチェンジなど、戦略的、実践的な人材育成を支援する教育サービスも提供します。さらには、自動車業界のOTA普及のため、データを収集し、クラウドに上げ、データを分析し、価値向上につなげるソリューションの共同開発にも取り組みます」

 ――今後の展開について教えてください。

 「11月15~17日開催の事業変革を推進するための最新技術とつながる総合展『EdgeTech+2023』において、今年は組込みソフトをテーマとした新企画『オートモーティブ ソフトウエア エキスポ』が開かれます。そこで当社はISIDと共同開発する具体的なツール、ソリューションを発表する予定です。注目度の高い展示会であるため、そこでの発表をきっかけに、本格的な事業展開を始めたいと思っています」

 ――御社は今年に入ってから、バルテス(4442)と提携し、日の出ソフトを子会社化するなど、提携やM&A(企業の合併・買収)を進めています。

 「当社は今期、これまで目指してきた内製化率100%から、協力会社やフリーランスを活用する方針に転換しました。現在は人手不足が深刻である上、ポテンシャルの高いエンジニアほど独立したいという意欲があり、会社への所属を期待するのは難しそうです。こうした中で、当社は内製化率100%にこだわることなく、外部との連携を強化することで、足りないところを補いつつ、将来の成長に臨むつもりです。今回のISIDとの提携もその一環で、次世代自動車開発支援ソリューションの分野で大きな飛躍を目指します」

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