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介入ポイントに一歩近づく円相場、植田総裁会見で2022年9月の再来も

  • 157円60銭までの円安で神田財務官の「投機」判断に合致か
  • 1-2円下落なら介入の可能性「十分ある」- マネックス証

円トレーダーは2022年9月22日の再来に身構えている。緩和的な金融政策を再確認した日本銀行の決定を受けて円が急落し、財務省が円買い介入に踏み切っただ。

  神田真人財務官の過去の発言に基づけば、1ドル=157円60銭が注目すべき重要なレベルの一つとなる。既に22年当時よりもはるかに円安が進んでおり、米国の金利もすぐに下がる気配を見せない中、日銀の植田和男総裁が26日の金融政策決定会合後の会見でタカ派的な発言をしないだけで、円はその変曲点に向かうかもしれない。

  円相場は下落を続け、24日に心理的節目の155円を34年ぶりに突破したが、今のところ財務省による円買いの兆候はない。しかし、急激な円安の引き金となり得る材料が多数ある中で、通貨当局が行動を起こせば、状況は一変する可能性がある。

Yen Weakens Beyond Previous Intervention Levels
 
 

  日銀は26日の昼過ぎに政策声明と経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表するとみられ、午後に植田総裁が記者会見を行う。さらに来週は月曜(29日)と金曜(5月3日)が日本の祝日で、薄商いの中で相場が乱高下するリスクがある。

  神田財務官は先月、2週間で4%以上の円安進行は、ファンダメンタルズに沿っておらず「明らかに投機」との見解を示した。ブルームバーグの集計データに基づくと、円が157円60銭まで下落するとこの基準に達する。25日午後1時半時点の円相場は155円47銭前後で取引されている。

【視点】円介入にはボラティリティー足らず、「神田ライン」が示唆

  マネックス証券の債券・為替トレーダー、相馬勉氏は日銀会合などをきっかけに円が1ー2円下落すれば、当局が介入に動く可能性は十分あると指摘。「ただ、今のように警戒感がある中でじりじり動いているだけだとやりづらい」とし、介入で円が上昇したところで円を売ろうと待っている人も多いと話す。

Yen Has Yet to Exhibit Unusual Moves

Source: Bloomberg

   野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストらによれば、日銀が26日の決定会合後に発表する内容が市場に失望感を生じさせるリスクがあるため、会合終了前に通貨当局が円買い介入を実施しても、効果がそがれることになるという。ブルームバーグの調査では、日銀ウォッチャーのほぼ全員が金融政策の据え置きを予想している。

  鈴木俊一財務相は25日、参院財政金融委員会で円安に関して「適切な対応をしていく思いに変わりない」と述べた。

  日米韓の財務相は先週、最近の急激な通貨安に対する日本と韓国の深刻な懸念を認めつつ、為替市場の動向について引き続き緊密に協議していくとする共同声明を発表した。円は今年に入り9%以上下落し、日銀が3月に07年以来初めて利上げを実施した後も、主要10通貨中で最悪のパフォーマンスとなっている。

   SMBC日興証の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、為替介入について「155円がスルーされたことから考えれば、タカ派化し切れないと予想される26 日の日銀決定会合後の円安圧力に対峙すべく、温存されているものと考えるのが自然」と指摘している。

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