米国が「輸出世界一」液化天然ガスのどうなる今後 バイデン氏vsトランプ氏、大統領選の結果次第で正反対の方針に
米国が液化天然ガス(LNG)輸出を伸ばしている。2023年は過去最高を更新し、初めて世界首位に立った。ただ、環境重視の姿勢を打ち出すジョー・バイデン大統領はLNGの新規輸出許可の一時停止を表明した。これに対しドナルド・トランプ前大統領は輸出に賛成の立場で、米国の輸出拡大は11月の大統領選次第というのが実情だ。エネルギー資源を海外に頼る日本への影響も小さくない。 天然ガスの国際的な業界団体によると、23年の米国のLNG輸出量は8430万トンで世界全体の21%を占め、主要輸出国のオーストラリア、カタールを上回った。 米国は、22年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアと関係が悪化した欧州からの需要増を取り込んだ。輸出先は、ロシアがパイプライン経由のガス供給を絞った欧州が67%に上り、アジアは25%だった。米政府は30年までに輸出量が倍増すると見込む。 だが、バイデン氏は1月に「エネルギー安全保障や環境への影響を徹底的に検討する」とし、自由貿易協定(FTA)を結んでいない国向けの輸出許可を停止した。 この方針を化石燃料からの脱却を訴える環境保護団体などは支持するが、反対派は欧州の「脱ロシア産エネルギー依存」の取り組みを難しくするなどと批判し、議論を呼んでいる。 米メディアによると、バイデン氏が新規のLNG輸出許可を一時停止すると表明した翌日、トランプ氏は許可申請を「復帰初日に承認する」と明らかにして対決色を鮮明にした。 LNG輸出は大統領選の争点ともなっているが、どちらが勝つかによって米国のエネルギー政策は180度異なる方針となる懸念が強い。