米大統領、自動車メーカーを非難 燃費基準緩和案の不支持で

米大統領、自動車メーカーを非難 燃費基準緩和案の不支持で
 8月21日、トランプ米大統領(写真)は、オバマ前政権時代に定められた燃費基準を緩和する自身の提案を支持しない自動車メーカーを非難した。ニュージャージー州モリスタウンで18日撮影(2019年 ロイター/JONATHAN ERNST)
[ワシントン 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、オバマ前政権時代に定められた燃費基準を緩和する自身の提案を支持しない自動車メーカーを非難した。
米カリフォルニア州とフォード・モーター、ホンダ<7267.T>、BMW、フォルクスワーゲンの大手自動車メーカー4社は前月、新たな燃費基準達成を目指すことで合意。同州が連邦政府と異なる独自の基準を設ける権限の取り消しを求めているトランプ政権の意向に反する動きを示した。[nL4N24R040]
カリフォルニアと4社が合意した燃費基準は自主的な達成目標である上に、トランプ政権の規制案よりは厳しいが、オバマ前政権時代に比べると緩やかになっている。
トランプ氏はツイッターへの投稿で、4社のなかでもフォードを名指しして非難。同社の創業者ヘンリー・フォード氏は「現代の後継者たちがはるかに高くて安全性が低く、性能もあまり良くない車を作ろうとしていると知ったらかなり失望するだろう」と訴えた。
フォードは文書で、自動車の妥当な価格を維持する一方で、環境対策に注力していると表明。「カリフォルニアとの合意によって規制上の安定が確保され、2つの異なる基準を順守するよりも多くの二酸化炭素(CO2)を削減できる」とした。
オバマ政権時代に定められた燃費基準が車の性能低下につながるというデータは示されていない。トランプ政権の規制案が車両の安全性を高め、大幅な値下げにつながるとする大統領の主張についても環境保護活動家や多数の州が反論している。
トランプ大統領はこれより先のツイッターへの投稿で「公正な自動車業界に対する私の提案は自動車の平均販売価格を3000ドル以上引き下げ、同時に自動車の安全性をかなり向上させる。エンジンはより滑らかに稼働し、環境への影響はほとんどない!愚かな経営陣だ!」と述べていた。
ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車<7203.T>、フォード、フォルクスワーゲンなどが加盟する米自動車工業会(AAM)の広報担当者、グロリア・バーグクイスト氏は、最終的な規則が近いうちにまとまることを自動車各社が待ち望んでいると指摘。価格面などあらゆる優先事項を最適化する基準の向上を支持するとし、これにより、新車を購入できる米国民が増加するほか、雇用や安全性の維持が可能になるとした。
GMはカリフォルニアの燃費基準は同社の電気自動車(EV)に対する配慮が足りないとして、同州と合意は結んでいない。それにもかかわらず、トランプ氏はツイッターに、今は亡きGMとフォードの創業者は、燃料規制を巡る「現在の自動車メーカー経営陣の弱さに『ひっくり返っている』」と投稿した。
トランプ氏の一連の投稿はまた、政権の燃費規制案のいくつかの点について誤った説明を加えている。政権案では、2030年モデルまでに新車の平均値上げ幅が1850ドル抑制され、消費者のローンや保険、税金に対する支払いが490ドル減少するとしている。また専門家によると、規制案にエンジンがより滑らかに稼働するようになるとの記述はないという。トランプ政権は9月末以降に規制を最終決定する見通し。
※内容を追加しました。

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