ゆうちょ銀行(7182)の株価は、2023年初来しばらくはレンジ内での推移でしたが、2023年2月27日に株式売却を発表したタイミングで変動率が高まり、その後は金融セクター不安もタイミングも重なり下落傾向になったと思われます。

ゆうちょ銀行の株価推移:2022年12月30日~2023年6月23日

出所:各種資料をもとに筆者作成

2022年度の決算結果が堅調な内容だったため、5月後半からは株価が上向きつつあると考えられます。今回はゆうちょ銀行の株価についてみていきましょう。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

【ゆうちょ銀行(7182)の株価】2月に株式の売り出し。3月は金融不安の影響を受けたか

ゆうちょ銀行は2023年2月27日に株式売り出しの発表を行なっています。この株式売り出しは、日本郵政が保有している株式を市場に売却して、出資比率を下げるものです。

市場の需給から見れば、市中で取引できる株式が増えることになるので、需給が崩れる可能性があります。

また、2023年3月にはシリコンバレーバンクの破綻やクレディ・スイスの買収が発生しました。シリコンバレーバンクは、業績不振を背景により実質的な破綻に追い込まれ、さらにクレディ・スイスもまたアルケゴスの取引の失敗などにより業績不振に陥っていた中で、半ば救済される形でUBSに買収されました。

金融セクター全体のネガティブ要因となり、ゆうちょ銀行の株価は5月ごろまで下落傾向になったと考えられるでしょう。

【ゆうちょ銀行(7182)の株価】堅調な業績と強気の見通しが反転のきっかけか

株価が反転したのは5月の後半に入ってからで、2022年度決算が出た頃でした。

2022年度は金融業においては、金利上昇などにより市場環境が大きく変化しましたが、ゆうちょ銀行は当期純利益で3250億円と当初予想を上回りました。

また、配当金も年間50円を維持したことも、市場に安心感を与えたと考えられます。

同時に公表された2023年度の業績見通しも下支え要因になったと思われるでしょう。ゆうちょ銀行は純利益について2023年度は3350億円と予想しています。

米ドルの金利上昇を背景とした外貨調達コストの増大を加味した数値であり、強気ながら合理的な見通しであるとして株価の上昇要因になったと考えられます。