ペイペイの上場先、ソフトバンクが米国市場を検討=関係筋

ペイペイの上場先、ソフトバンクが米国市場を検討=関係筋
通信大手ソフトバンクが、傘下の決済アプリ企業PayPay(ペイぺイ)の上場先について、米国市場を軸に検討していることが分かった。写真は2021年6月、東京で撮影(2023年 ロイター/Sam Nussey)
[東京 12日 ロイター] - 通信大手ソフトバンクが、傘下の決済アプリ企業PayPay(ペイぺイ)の上場先について、米国市場を軸に検討していることが分かった。テック関連企業は米国のほうが価値が高く評価される傾向にあり、日本の携帯電話市場が飽和する中、ソフトバンクは急成長するPayPayの資金化に向けて準備を本格化する。
事情を知る関係筋3人が明らかにした。ソフトバンクはかねてからPayPayの新規上場に意欲を示していたが、上場先には言及してこなかった。ソフトバンク、PayPayともロイターの取材に「憶測にはコメントしない」と回答した。
利用者獲得のため先行投資がかさむPayPayは収益化が課題。上場時期は不明だが、関係筋の1人は上場に向けて黒字化への道筋を明確に示す必要があると説明する。PayPayを中心とするソフトバンクの金融事業は2022年度、124億円の赤字だった。同社は25年度までに黒字化を目指すとしている。
ソフトバンクは傘下のZホールディングスと共に22年10月にPayPayを連結子会社化し、両社で69.8%(議決権ベース)の株式を保有する。残りはソフトバンクグループのビジョンファンド2が持つ。ソフトバンクは、子会社化の際に再評価したPayPayの企業価値が1兆円弱(9月末時点)だったことを明らかにしている。
スマートフォンのアプリなどを使ったコード決済は利用者が増加しており、矢野経済研究所が22年12月にまとめた調査によると、21年度に9兆4636億円だった市場規模は26年度に19兆7632億円へ拡大する見通し。
22年度のPayPayの決済取扱高は10.2兆円で、前年度から34%伸びた。登録ユーザー数は5664万人。MMD研究所の今年1月の調査によると、現在使われているスマートフォン決済サービストップはPayPayで41.2%、2位は楽天ペイで19.4%だった。
(Sam Nussey、浦中美穂 編集:久保信博、青山敦子)

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