ハイテックシステム、農漁業向けにIoT 業務効率化
計測・制御機器のハイテックシステム(北海道恵庭市)は、農水産業など向けにあらゆるものがネットにつながる「IoT」技術の提供に乗り出す。多様なデータをセンサーで集め、クラウドサービスに保存できる仕組みを2019年の早期から販売する。北海道電力との取引で培ったデータ分析力も組み合わせ、1次産業の生産性向上や業務効率化に協力する。
温度・湿度や水位、位置情報などのデータを手のひら程の大きさのセンサーで収集。中継器を介してネットで送り、クラウドに保存する。データを監視・分析し、急な変化をメールで知らせる機能なども備える。将来は分析したデータと人工知能(AI)の連動も見込む。センサーは販売済みで独自開発のクラウドサービスと連携させる。
例えば農業で作物の生育状況と周辺データの記録から生産性を高めたり、漁業で漁船の位置情報を集めて事故を防いだりといった使い方を想定する。気象サービス会社と連携し、顧客が求めれば1キロ四方の細かな気象情報も提供。自前のデータと合わせて役立ててもらう。
センサーは単3電池2本で1年以上動く。通信規格は省電力・広域で無線通信する「LPWA」を用い、最大10キロ圏まで対応する。中継器があれば大手通信会社の基地局が対応できない遠隔地とも通信できる。
センサーは顧客の要望で機能を追加するほか、顧客が持つセンサーをクラウド対応へ改良もできる。同社は酪農・畜産農家向けシステムのファームノート(帯広市)と共同で牛の繁殖や疾患の兆候を探るセンサーを開発した実績もある。
センサーと中継器、クラウドサービスをまとめて販売し、顧客の初期設定の手間を減らす。販売はシステム開発のエコモットの協力を得る。価格は中継器が約20万円、センサーは機能によるが7万円程度。センサー1つにつき千円のサービス利用料を求める。
クラウドサービスには水力発電所の保守点検やダム管理のシステムで培ったデータ管理の蓄積を生かす。例えばデータを1年以上前まで遡れるほか、前年と比べやすくする。従来も似たサービスはあったが、3カ月など短い期間しか記録できないものが多かった。
ハイテックシステムの2018年5月期の売上高は3億8700万円。このうち9割を占める北電向け事業は道内に限られ、人口減が進むなかで今後の大きな成長は望みにくい。酒井裕司専務は「クラウドサービスを伸ばし、全体の売上高を5年で6億円程度まで引き上げたい」と話す。