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Photographer: Christophe Simon/Getty Images
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ベインが大江戸温泉物語を売却へ、ソフトバンクGなどが応札

更新日時
  • 1000億円超での売却を目指す、IPOの選択肢も検討
  • 野村証券を売却手続きのアドバイザーに起用

ベインキャピタルが、旅館や日帰り温泉施設を運営する大江戸温泉物語グループの売却手続きに着手したと報道が伝わったことで、温泉・温浴施設に特化した不動産投資信託(REIT)の大江戸温泉リート投資法人の価格が1年10カ月ぶりの高値をつけた。

  26日の同法人の価格は一時前日比1.7%高の9万2400円と、2017年11月以来の高値水準を回復。日中上昇率は3カ月ぶりの大きさとなった。

  複数の関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、ベインは1000億円超での売却を目指しており、ソフトバンクグループや複数の投資ファンドが1次入札に参加した。新規株式公開(IPO)の選択肢も検討しているという。ファイナンシャル・アドバイザーには野村証券を起用した。

  ベインは2015年に同グループを買収しており、当時の日本経済新聞の報道によると買収総額は約500億円だった。

  ベインの広報担当にコメントを求めたものの直ちに回答を得られなかった。ソフトバンクGと野村証券の広報担当者はコメントを控えた。

  インバウンド需要の強さを背景に、国内外の投資ファンドによる温泉施設の買収が熱を帯び、関連する不動産投資信託(J-REIT)の資産も増勢だ。ソフトバンクG傘下の米フォートレス・インベストメント・グループは約100の温泉施設やホテルを展開しており、ホテルなどを含む日本国内の不動産に4年程度で最大4000億円を投資する考えだ。

  大江戸温泉物語は江戸の下町のにぎわいをモチーフにした大規模日帰り温泉施設をはじめ、全国で38施設を運営している。ソフトバンクGのフォートレスは2月に大阪市湾岸部の高層ビルに巨大な温泉型テーマパーク「空庭温泉」を開業した。

  ソフトバンクがフォートレスを17年に33億ドル(約3500億円)で買収して以降、同社は積極的な企業の合併・買収(M&A)に乗り出している。10月には不動産やホテル事業を運営する会社のユニゾホールディングスを公開買い付け(TOB)で最大100%取得する計画だ。

  環境省によると、全国に温泉地は約3000カ所、宿泊施設数は1万3000カ所ある。日本政策投資銀行などの調査では、昨年初めて3000万人を超えた外国人旅行者の訪日目的で温泉とショッピングは、特にアジア勢の間で人気が高かった。

  大江戸温泉リートは26日までに年初来15%上昇、フォートレス系列REITのインヴィンシブル投資法人は44%上昇している。

(株価上昇を受けて見出しやリードを書き換えました)
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