旧村上ファンド系があおぞら銀の筆頭株主に、空売り勢と激しく火花
佐野日出之-
シティインデックスイレブンスなどの保有比率が8.92%に上昇
-
あおぞら銀株の空売り比率は27.6%、日経平均で最高水準-S&P
あおぞら銀行の筆頭株主に旧村上ファンド系が浮上した。同銀株には空売りも急増しており、アクティビストと空売り勢による一騎打ちの様相を帯びてきた。
5日公表された変更報告書によると、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスなどはあおぞら銀の株式保有比率を8.92%まで引き上げた。2月末に大量保有報告書を提出し、あおぞら銀株を5%超保有していることを開示したばかりだが、その後も急速に同銀株を買い集めた。あおぞら銀に対し重要な提案をする可能性があるとしている。
一方、米国オフィス向け融資の追加引き当てで今期(2024年3月期)が15年ぶりの赤字見通しとなったあおぞら銀には空売りも急増している。S&Pグローバルのデータによると、空売り残高が浮動株に占める比率は27.6%と、日経平均株価の構成銘柄で最高水準に達している。
ブルームバーグのデータによると、バンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループといった海外の大手証券会社があおぞら銀株を大幅にショート(売り持ち)しており、ヘッジファンドなど顧客の空売りポジションを反映しているとみられる。
あおぞら銀株は今期の赤字見通しを発表する前の1月末に比べて2割ほど安い水準で推移。シティIの大量保有が明らかになった翌営業日の2月29日に急騰したものの、買いの勢いは続かなかった。
シティIはあおぞら銀の他、空売り比率が高い大平洋金属にも投資しているが、同社株の持ち分は縮小している。
物言う株主として知られる村上世彰氏が関わるシティIはコスモエネルギーホールディングスに製油所の統廃合を迫るなど、投資先に対し収益性向上策を積極的に求めてきた。コスモエネ株は経営側からの抵抗もあり、昨年12月に岩谷産業に売却した。
関連記事:
- あおぞら銀行株、空売り報告が相次ぐ-急落後も先行きを悲観視か
- あおぞら銀ショック、米不動産リスクが顕在化-外資手法で異色の邦銀