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日銀は9月会合で追加利上げの可能性、為替の影響に注意-門間元理事

  • 個人消費の回復見極め0.25%へ、4-6月のサービス価格がポイント
  • 4月会合後の植田総裁会見、利上げトーンが為替に影響する可能性

元日本銀行理事の門間一夫みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミストは、足元で力強さを欠く個人消費の回復を見極めた上で、日銀は9月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切る可能性があるとの見方を示した。17日に都内で開かれたイベントで語った。

  門間氏は日銀の金融政策運営を占うための最重要指標に4-6月のサービス価格を挙げ、「ここに今年の賃上げが反映されてくるか」に注目していると説明。それが確認されれば、「最速で7月の利上げもあるかもしれない」としつつ、メインシナリオとして4-6月の個人消費を国内総生産(GDP)で確認できる9月会合で政策金利を「0.25%まで上げるのではないか」と語った。

  3月会合ではマイナス金利を解除し、政策金利を無担保コールレート翌日物で0-0.1%程度に引き上げた。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も廃止した。植田和男総裁は3日の朝日新聞とのインタビューで、「夏から秋にかけて春闘の結果が物価にも反映されていく中で、目標達成の可能性がどんどん高まっていく」と発言。門間氏はその過程でサービス価格を注視すべきポイントに挙げた形だ。

  植田総裁は3月会合後の記者会見で、政策変更によって「普通の金融政策を行っていくということになる」と説明した。マイナス金利解除後も「当面、緩和的な金融環境が継続する」と語った。

  門間氏は市場も緩和環境が続くと理解していると思うが、「それはちょっと違う」と指摘。あくまで現時点の経済・物価見通しが前提であり、「コミットメントはない。データ次第になった。それが普通の緩和に移行したという意味だ」との見解を示した。

  足元で進む円安に関しては、日銀の金融政策運営に「ある程度の影響を与える」とみている。物価高が個人消費の低迷の要因となる中、「円安は家計にとっても企業にとっても大問題だ」とし、行き過ぎた円安に対しては「日銀としても、何らかの対応姿勢を示すということが十分あり得る」と語った。

  その上で、25、26日の決定会合後の植田総裁の会見では、将来の利上げに関するトーンが為替相場に影響する可能性があり、「十分に注意してみておく必要がある」との見方を示した。同会合では、四半期ごとに公表している経済・物価情勢の展望(展望リポート)を議論し、2026年度を加えた最新の経済・物価見通しが示される。

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