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野村とみずほ、計1億ドル超の損失か-オール・ブルーの取引失敗で

  • オール・ブルー・キャピタルは今年に入って空売りで失敗相次ぐ
  • オール・ブルーによる決済不履行の影響で潜在的損失に直面

野村ホールディングスみずほフィナンシャルグループは、投資ファンドのオール・ブルー・キャピタルが行った一連の株式取引の失敗に関連し、計1億ドル(約153億円)を超える潜在的損失に直面している。

  ニューヨークで提出された法的書類と事情に詳しい関係者の話をまとめると、オール・ブルーは今年に入り、複数の取引相手との間で行った空売りで失敗が相次いだ。オール・ブルーの2つのユニットは3月に英領バージン諸島で清算手続きに入ったことを届け出書類は示している。

  関係者によれば、オール・ブルーが決済を履行できなかったことが影響し、野村HDは140億円の損失を被る可能性がある。これとは別に、みずほはオール・ブルーには未返済の1900万ドルの債務があると訴えている。みずほがニューヨークで提起した訴訟の一部に関する書類で明らかになった。オール・ブルー側も当該事案を訴訟で争っている。

  潜在的な損失の大きさは、野村HDとみずほのリスク管理慣行について疑問を投げかけるものだ。世界中の大手金融機関はリスクの高い投資ファンドの監視を改善するよう圧力を受けている。野村HDは2021年のアルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻で約30億ドルの損失を出した後、内部管理の改善に数年を費やしてきた。アルケゴス問題はみずほにも損失を負わせた。

  野村HDとみずほの広報担当者はコメントを控えた。オール・ブルーの弁護士は、みずほの主張からオール・ブルーを断固として擁護すると述べた。オール・ブルーを率いるマット・ノバク氏にはこれまでにコメントを複数回求めたが、返答は得られていない。

  野村HDは先月、潜在的な損失に絡む貸倒引当金の計上を明らかにしていた。北村巧財務統括責任者(CFO)は、2024年1−3月期(第4四半期)決算で計上したホールセール部門での貸倒引当金について、2月に英国の子会社で発生した事案だと説明。同CFOによると、英国のブローカーからの株式委託取引で決済不履行が生じ、貸倒引当金として全額を計上した。関係者によると、そのブローカーはロンドンを拠点とするアバロン・キャピタル・パートナーズで、オール・ブルーに代わって取引の一部をアレンジしたという。

野村HD、英ブローカーとの株委託取引で決済不履行-債権回収へ精査

  アバロンの広報担当者はブルームバーグへの電子メールでの文書を通じ、ある顧客が2月に「複数の取引で決済できなかった」のを受け、英金融行動監視機構(FCA)に「即座に」通知したと述べた。同広報担当はその顧客を特定せず、それ以上のコメントは控えた。

  アバロンのようなブローカーは、トレーディングの世界で仲介業者として働き、買い手と売り手をマッチングする。通常、取引を決済するための株式や現金を受け渡すのはエンド顧客の責任だ。

  みずほは3月、オール・ブルーを相手取ってニューヨークで訴訟を提起。オール・ブルーが債務を返済せず、連絡を怠ったと主張している。オール・ブルーは不正行為を全面的に否定している。

  みずほの訴えによると、オール・ブルーは昨年末にみずほの米国法人に口座を開設。今年2月、スーパー・マイクロ・コンピューター株の空売りに動いたという。スーパー・マイクロの株価は今年に入って150%余り上昇。2月だけで64%値上がりした。

  法廷書類によると、オール・ブルーは全ての株式を返却できず、みずは1900万ドルの損失を被った。みずほの関係者はノバク氏の行方を追うのに苦労したという。

  オール・ブルーの弁護士は過去数週間、同社の1部門は3月末にかけて清算されたと訴訟で述べている。清算手続きのために作成された文書によれば、ノバク氏は事業閉鎖に署名し、破産処理はR&Hリストラクチャリングの実務家が担当しているという。

  みずほのバンカーの1人は、数週間前に決済されるはずだった取引について記述した電子メールの中で「ノバク氏は今週を通じてチャットがオフラインだった」とコメント。「彼とつながることができない」とした。

原題:Nomura, Mizuho Face Losses on All Blue Fund’s Failed Trades (1)(抜粋)

 

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