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ソニー勢など電子漫画「めちゃコミ」運営会社の買収検討-関係者

更新日時
  • 米KKRなども応札、最大2000億円規模に-インフォコム株は急騰
  • ソニーは傘下にアニプレックスなど、メディアミックス拡大の好機に

ソニーグループなど複数陣営が、帝人の上場子会社で電子コミックサービス大手「めちゃコミック」を運営するインフォコムの買収を検討していることが9日分かった。買収総額は最大で2000億円規模になる可能性がある。

  複数の関係者によると、インフォコム株を約55%を保有する帝人は、持ち分全ての売却を目指しており、5月中旬に予定される2次入札には、ソニーG傘下のソニー・ミュージックエンタテインメントのほか、米投資ファンドのブラックストーンKKRが応札するもよう。

  また、関係者の1人によれば、ファンドなどは帝人持ち分に加え、株式公開買い付け(TOB)によるインフォコム全株式の取得を想定しており、この場合、取得金額は2000億円規模になる可能性もあるという。別の関係者は、ソニーGは投資ファンドのインテグラルと連合で応札すると述べた。インフォコムの時価総額は9日終値で約1700億円。

  10日の取引でインフォコム株はストップ高水準の買い気配、帝人株は一時5.3%高となった。SMBC日興証券の宮本剛氏らは帝人について、インフォコム株売却が「現実味を帯びた印象」とし、「売却収入と売却益の規模がより大きくなる可能性が高まった」と分析。売却収入は1160億円に上ると試算した。

  電子コミック市場は「めちゃコミ」のほか、「LINEマンガ」、「コミックシーモア」などのサービスがスマートフォンアプリなどで普及。出版科学研究所の調査によると、2023年の販売額は紙媒体の2倍超の4830億円に急拡大している。

  大手の一角である「めちゃコミ」買収は、アニメや音楽を手掛けるソニーGなどにとってメディアミックス拡大の好機となる。一方、帝人は中長期成長に向けた経営戦略として、「非注力事業の選定・撤退」などを挙げていた。

  帝人、ソニーG、ブラックストーンの広報担当者はコメントを控えるとしている。KKRの広報担当者に連絡したが、コメントは得られていない。インテグラルの担当者にコメントを求めたが、営業時間外のため回答は得られなかった。

  ソニー・ミュージックエンタテインメントは音楽事業のほか、「鬼滅の刃」の大ヒットを演出した企画製作会社アニプレックスを持つ。ソニーGは日本のアニメを配信する米クランチロールなども傘下に抱えており、インフォコムを買収すれば、作品プロモーションなどの点で相乗効果が期待できる。

  ファンド勢もコンテンツ事業に知見を持つ。ブラックストーンは米ウォルト・ディズニー元幹部らが設立した米キャンドルメディアが傘下にあり、「ブロンディ」や「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」の楽曲カタログを所有する音楽特化型の英ファンドの買収合戦に参加している。KKRは映画製作会社の米スカイダンス・メディアに出資した。

  インフォコムは1983年に設立された日商岩井コンピュータシステムズが源流で、2001年に帝人子会社の帝人システムテクノロジーと合併した。電子コミック事業は子会社で手掛けており、収益面では情報システム事業を上回り、23年3月期の売上高は462億円と3分の2を占めた。

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