先日楽天イーグルスの三木谷浩史オーナーの現場介入が大きな話題になりました。
本来日本の野球チームでは、選手起用や采配などは現場のプロ野球経験者である監督・コーチに任せるのが一般的です。
しかし三木谷オーナーは野球に関して素人にも関わらず、このようなことについて口出ししています。

三木谷オーナーの現場介入、話題になったのは最近ですが、実は球団が誕生した2005年からあったことなのです。この件について楽天の初代監督・田尾安志氏が「読む野球-9回勝負-No.6」の中で発言しています。

【かなり献身的な働きをしていた田尾氏】


前提として、チームが誕生した当時の楽天は寄せ集めチーム。基本的にオリックス・近鉄の2球団から"必要とされていない"選手たちと他球団の戦力外選手の集まりで戦わないといけませんでした。
野球ファンが見れば、どんな名将が率いたところで1年目の楽天は最下位は決定的でした。そんな中、田尾氏は初代の楽天の監督を引き受けてくれたのです。


田尾氏はただ監督を引き受けただけではなく、こんな仕事までしていました。それはコーチ陣の給与決めです。
もともと楽天は野球チームに参入したのが初めてだったということもあり、コーチ陣の給与の相場がいくらかということも分かっていません。そのため田尾氏が楽天から予算を貰い、その中からコーチ陣の給与を決めていたそうです。
当たり前ですが、本来これは監督の仕事ではなくフロントがすべき仕事。ただ監督を引き受けてもらっただけではなく、こんなことまで田尾氏にしてもらい、楽天は頭が上がらないはず……

【三木谷オーナーからの介入】


しかしここまで田尾氏がしているにもかかわらず、オーナーからの介入があったと言います。
田尾氏によるとオーナーから、選手の固有名詞も出さずに「若手を使え」と言われたり、「昨日のゲームのあの場面はあの選手を代打に出すべきだった」「あそこはバントだったのでは」などとも言われたりしたそうです。

さすがの田尾氏も頭にきて、球団代表に「三木谷オーナーにお前がやれって行っておけ。俺はいつでも辞めるから」と伝えたと本書では書かれています。良いチームにしようと全力を出している田尾氏にとって、許しがたい発言だったのではないでしょうか。

【二転三転した休養発言】


極めつけは休養発言です。8月の連敗時に球団代表から「明日負けたら休養してくれ」という電話がかかってきたと言います。野球の世界でいう監督のシーズン途中での休養は、ほぼクビであるといっても過言ではありません。

にもかかわらず、この時に田尾氏が「では明日勝ったらどうするんだ?」と聞くと、「今までどおりやってください」と答えが返ってきたそう。

「そんな薄っぺらいことしか考えてないのか」と怒った田尾氏は三木谷オーナーに電話をしますが、オーナーは電話に出ません。
そのため田尾氏が留守電で「一つの勝ち負けで動くのは良くない」と伝えると、球団社長から「監督はなにか勘違いしているのではないですか? 休養というのは2、3試合休んでくださいということです」という訳の分からないことを言われたそうです。

この一件以降、田尾氏いわく三木谷オーナーが田尾氏の前に顔を出すことはありませんでした。そして田尾氏は結局、3年契約だったものの1年で契約を切られてしまいます。
三木谷オーナーにうとまれたのが原因なのでしょうか。
いずれにしても三木谷オーナーは10年経ってもまったく人間性が変わっていないのがよく分かりますね!
(さのゆう90)