燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生せず、発電やボイラー燃料などさまざまな用途に使える次世代エネルギー、水素―。その水素の普及を目指した動きが国内で活発化している。東京都では3月、水素をパイプラインで住宅地に供給して発電に使う国内初の事業がスタート。山梨県では水素を造る際にCO2を出さない「グリーン水素」の国内最大の製造施設が着工し、道内でも同様の計画が動き出している。国も後押しする水素普及の取り組みを探った。(東京報道 山田一輝)
■五輪選手村跡地で発電、マンション照明に活用
「晴海は日常的に水素エネルギーを活用して生活する新たな都市モデルだ」。東京都中央区の臨海部に位置する晴海地区に2024年3月、国内最大級の水素ステーションが開所し、東京都の小池百合子知事が式典で水素活用の意義を強調した。
ステーションでは都市ガス(CH4)から水素(H2)を造る。製造能力は1時間当たり300立方メートル。水素は路線バスなどの燃料電池車(FCV)に1日最大40台分を供給する。さらに地下に敷設したパイプラインで近くのマンション群「晴海フラッグ」内に設置された燃料電池に送って発電し、共用部の照明など電気の一部に使う。水素をマンションに直接供給する国内初の取り組みが話題で、「水素に関心を持ってマンション入居を決める人もいる」(都の担当者)という。
晴海フラッグは東京オリンピック・パラリンピック選手村を再整備した地区で、マンション群は全23棟の約5600戸(順次入居中で、全棟完成は25年度)。この地区での水素事業は公募で選ばれた石油元売り大手のENEOS(エネオス、東京)や東京ガス(東京)など6社が担う。...
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