ユーシン株に不自然な動き TOB発表前から急騰
7日にミネベアミツミが株式公開買い付け(TOB)の実施を発表したユーシン株の不自然な値動きが市場の話題になっている。TOBの発表は同日取引が終了した午後3時だったが、発表前から商いを伴って大きく上昇していたからだ。不正な取引を監視する日本取引所自主規制法人は、売買データの分析など具体的な調査に着手した。
7日のユーシン株の終値は前日比13%(99円)高の867円。午前中は株価はほとんど動いていなかったが、午前11時すぎから買い注文が相次いで入った。同日午後3時にミネベアミツミが1株985円でユーシン株の公開買い付けを発表。8日は一段高となり、111円(13%)高の978円で取引を終えた。
ミネベアミツミは7日午前11時30分、アナリストや機関投資家に対し、東京本部(東京・港)で午後5時30分に開く予定だった決算説明会の会場を帝国ホテル(東京・千代田)に変更すると電子メールで連絡した。「伝えたのは会場変更の情報だけ」(投資家向け広報担当者)という。
一方、ユーシンがTOBに関する記者会見の連絡をアナリストに知らせたのは「TOBを適時開示した午後3時以降」(管理本部)という。
日本取引所グループ傘下の自主規制法人は、ユーシン株に買いを入れた証券会社から顧客投資家のデータを取り寄せるなど具体的な調査に着手した。不正が疑われる場合は、証券取引等監視委員会への報告など対応をとることになる。