セーラーがストップ高 プラスの「傘下入り」好感(話題の株)
24日の東京株式市場で、筆記具販売などのセーラー万年筆株が急伸した。一時買い気配のまま取引が成立せず、気配値を制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比50円(35%)高の192円に切り上げた。23日に文具・事務用品大手のプラスを割当先とする新株予約権付社債(転換社債=CB)発行を発表。業績悪化が目立つセーラーの再建が進むとの期待から個人投資家の買いが先行した。
終値は50円(35%)高の192円と年初来高値を更新。多くの買い注文を残したまま取引を終えた。売買代金は26倍に膨らんだ。
セーラーは7月13日までに20億円のCBを発行する。CBが株式へ転換されると、プラスの持ち株比率は現在の14%から58%となり、セーラーはプラスの子会社になる。セーラーの2019年12月期の連結最終損益は1億3900万円の赤字(前の期は9000万円の赤字)。中国などでボールペンが落ち込み2期連続の赤字となっていた。
同日、プラスと販売面で提携することも発表した。CBで調達する資金を原資に製造能力の拡大や生産性向上を進めることに加え、拡販や物流効率化などのシナジー効果も期待できそうだ。いちよし証券の宇田川克己氏は「協業で事業リスクが軽減されたとみなされ、今後の経営安定化を見込んだ値動きにつながっている」と指摘する。
一方、24日時点のPER(株価収益率)は112倍を超えており、高値への警戒感も広がっている。20年12月期の最終黒字転換に向けて、「提携効果を実績として示せるかどうかが焦点になる」(国内証券)との声があった。