戸田工業、東北大学と磁石の技術開発 ナノテラス活用
素材メーカーの戸田工業は9日、東北大学と共同で磁石材料に関する研究を始めたと発表した。次世代放射光施設「ナノテラス」を活用し、ネオジム磁石の構造が温度環境によってどう変化するかをナノ(ナノは10億分の1)メートル単位で可視化する。今後2年ほどかけて研究し、得られた知見を製品開発につなげる。
4月に本格稼働したナノテラスは、太陽光の10億倍という強い光を使いナノメートル級の微細な物質を観察できる巨大顕微鏡だ。戸田工業は高温環境での磁力変化など、従来の測定方法では見えなかった状態を可視化して影響を解明する。
電気自動車(EV)の普及などにより、モーターの主力部品であるネオジム磁石は耐食性や耐熱性が求められている。高温環境では磁気特性が低下することが課題となっているが、これまでは十分に分析できなかった。
測定スピードは約1週間から半日〜数時間まで短縮される。松岡大取締役は「ナノテラスでの研究を活用し、顧客が求めるより先の視点で設計していきたい」と話した。今後は他の研究にもナノテラスの活用幅を広げる。
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