半導体製造の化学品再生 三和油化など、北九州に新工場
産業廃棄物のリサイクルを手掛ける三和油化工業とエア・ウォーター子会社で化学薬品専門商社のエア・ウォーター・マテリアル(東京・港)は26日、北九州市と立地協定を結んだ。2社の共同出資会社を6月に同市で立ち上げ、半導体製造に使う化学品のリサイクル工場を新設する。台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ半導体工場の稼働が相次ぐ九州で需要を取り込む。
新社名は「サンワマテリアルソリューションズ」で、出資比率は三和油化が65%、エア・ウォーター・マテリアルが35%。新工場は北九州市戸畑区のAGC北九州事業所内の土地を借りて立ち上げ、2026年中の稼働開始を目指す。投資額は約60億円。処理能力は年1万㌧程度から始め、順次増やす。地元雇用も含め、従業員を20人程度確保する。
半導体の製造には、回路をウエハーに形成したりウエハーを洗浄したりする際にアルコールやリン酸などさまざまな化学品を用いる。新会社ではこれらを半導体工場から回収。分離・精製して新品同等の製品にするほか、再生できないものは燃料にする。再生技術を三和油化が、販売をエア・ウォーター・マテリアルが担う。
記者会見した三和油化の柳均社長は「化学資源は海外依存度が高い。リサイクルのしくみをつくり調達のリスクやコストを下げる」と話した。北九州市の武内和久市長は「九州全体の半導体供給網の強靱(きょうじん)化につながると確信している」と歓迎した。
九州で「シリコンアイランド」復活に向けた動きが広がっています。半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出を機に、関連企業が九州に集まりつつあります。最新のニュースを伝えます。