日立、NVIDIAとAIサーバーやメタバース開発
日立製作所は19日、米エヌビディアと人工知能(AI)システムの開発で協業すると発表した。生成AIの学習時間を20分の1に短縮できるデータ保存用のサーバーの製造・販売を手掛けるほか、電力プラントや鉄道の保守点検の現場をデジタル上で再現する産業向け「メタバース」を開発する。主力とするデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援事業を拡充する。
協業の第1弾として6月までにAI搭載のデータ保存サーバーの販売を始める。エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を搭載し、高速でデータを読み書きできる日立の技術を活用する。生成AIの精度を高めるためのデータの学習時間を従来の20分の1に短縮でき、電力消費量も減らせるという。
工場やインフラなど製造業の現場を仮想空間上で再現する「デジタルツイン」のシステム開発も進める。日立の設備を運用・制御するノウハウに、エヌビディアのメタバースやAI技術を組み合わせる。仮想空間上で設備や機械の導入などをシミュレーションできるようにする。
日立とエヌビディアは今後の製品やシステムの開発に向けて、両社の人材を集めた組織を24年度に設立する。組織の規模は今後詰める。日立からはITのほか、エネルギーや鉄道、製造業関連の技術者を派遣し、エヌビディアはGPUのノウハウを持つ人材が参加する見通しだ。
日立の鮫嶋茂稔理事は「最先端のITと、熟練作業員の技術が必要な運用・制御技術を組み合わせることで社会の課題解決に挑戦したい」と話す。