• TSRデータインサイト

2024年2月の「円安」関連倒産 5件 3カ月ぶりに前年同月を上回る

~ 【2月速報】 「円安」関連倒産(2月29日現在) ~


 2024年2月の「円安」関連倒産は5件(前年同月比150.0%増)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。年初、1ドル=140円台前半だった東京外国為替市場の相場は、2月に入り1ドル=150円前後までじりじりと円安が進んだ。「円安」関連倒産は、2022年7月から20カ月連続で発生した。
 負債総額は12億6,200万円(同28.8%減)にとどまり、3カ月連続で前年同月を下回った。

 2024年2月の「円安」関連倒産は、製造業3件、卸売業2件が発生した。後藤漬物(株)(鹿児島都、負債5億5,737万円)は、新型コロナで売上が落ち込む一方、光熱費や人件費の上昇や円安に伴う原材料価格の高騰が収益を圧迫、価格転嫁もできずに資金繰りに行き詰まった。
 同社以外でも、円安で原材料価格が高止まりしていることで業績への影響が大きい企業は多い。


 東京商工リサーチ(TSR)が2月実施の「価格転嫁に関するアンケート」調査では、2024年1月の本業コストが前年1月より増えた企業は7割(73.6%)を超えた。ただ、原材料や燃料費、電気代の高騰を原因にあげた企業で、価格転嫁できていない企業が約4割(37.9%)にのぼった。
 円安などの要因によるコスト上昇について、価格転嫁が難しい小・零細企業ほど資金繰りへの影響は甚大だ。特に、過剰債務では新たな資金調達が難しいだけに、懸念材料に浮上している。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

2

  • TSRデータインサイト

堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~

東京には全国の地域金融機関が拠点を構えている。今回はそれら金融機関の担当者が対応に追われた。最大54行(社)の金融機関やリース会社から融資を受けていた老舗ベアリング商社の堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、東京都)が7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

インバウンド需要で「ホテル経営」が好調 8割のホテルが稼働率80%超、客室単価の最高が続出

コロナ禍の移動制限の解消と入国審査の緩和で、ホテル需要が急回復している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、コロナ禍前を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年4月の「円安」関連倒産 1件発生 発生は22カ月連続、円安の影響はさらに長引く可能性も

2024年4月の「円安」関連倒産は1件発生した。件数は、3カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2022年7月から22カ月連続で発生している。 3月19日、日本銀行はマイナス金利解除を決定したが、じりじりと円安が進み、4月29日の午前中に一瞬34年ぶりに1ドル=160円台に乗せた。

5

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

TOPへ