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トップは「S&P500」、日本株の積立投資人気が急浮上=ネット証券の投信積立契約件数ランキング24年4月

2024/05/02 16:48

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2024年4月のトップは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、前月トップの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は2位に後退した。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップになるのは23年12月以来4カ月ぶりのこと。そして、ランキングには第3位になった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」をはじめ、日本株式を投資対象にしたファンドが大きく順位を上げている。投信の積立契約は、一定期間の積立投資を前提にした投資方法であるため、多くの投資家が日本株について中長期的に強気の見方をし始めているのだろう。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 日本株ファンドでランキングに入ったのは、第3位の「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」と、第4位の「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」、そして、第7位に「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」、また、10位の「ひふみプラス」と「日経平均高配当利回り株ファンド」の5本だ。上位10本の半数を日本株ファンドが占めている。10位に食い込んだ「ひふみプラス」と「日経平均高配当利回り株ファンド」の2本は、前月はトップ10圏外だったファンドであり、5本のうち4本は、前月よりも順位を大きく上げている。

 日本株については、「TOPIX(東証株価指数)」と「日経平均株価」という代表的な株式インデックスに連動する2本が上位に入ったことは順当だろう。また、「ひふみプラス」は、アクティブファンドながらETFの除く日本株ファンドで残高が最も大きなファンドであることから、「代表的な日本株ファンド」として選ばれているのだろう。そして、ランキングに入ったファンド5本のうち2本が「配当利回りが高い株式」を中心に投資するファンドだった。これらは比較的株価下落にも抵抗力のあるファンドといえ、やや慎重なスタンスもみてとれる。ただ、高配当株は「日経平均高配当利回り株ファンド」の過去1年間のトータルリターンは54.64%と米「S&P500」よりも優れた成績を残しているため、高配当株の下値抵抗力よりも足元のパフォーマンスを評価した動きなのかもしれない。

 日本株式市場は、今年2月22日に日経平均株価がバブル崩壊前の1989年12月に付けた最高値3万8915円の高値(終値ベース)を34年ぶりに更新し、3月には4万円の大台をクリアした。その後、イランとイスラエルの間の緊張、また、米国の利下げ期待の後退や、急激な円安など不透明要因が増えたことなどによって、日経平均株価は3万8000円前後でもみ合う展開になっている。過去1年間のトータルリターン(3月末時点)では、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が49.0%と頭抜けているものの、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は46.44%と肉薄し、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」も41.10%と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の41.16%とそん色のない成績になっている。

 積立契約は、足元の運用成績よりも、これからの見通しの良し悪しが重要視される。長らく、「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」がトップを独占してきた市場だった。国内株ファンドがランキングに入ってきているとはいえ、2大ファンドである「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と比較するとポイント差は大きい。ただ、その海外株一辺倒だった投資の流れに、新しく日本株という選択肢が意識され始めていることは事実だ。この流れが、今後も続くものかどうか注目していきたい。