ロームは2022年12月13日、自動車部品メーカーの日立Astemoの電気自動車(EV)用インバーターに、自社の炭化ケイ素(SiC)製品が採用されたと発表した。同社は同年11月22日にマツダ製EV用インバーターへのSiC供給を発表したばかりで、顧客確保を順調に進めている。2025年にロームのSiCが搭載された日立Astemo製のインバーターが、国内外の自動車メーカーに供給され始める見込みである。

 SiCは次世代のパワー半導体材料で、従来のシリコン(Si)よりも電力損失を低減できる。ロームによればSi IGBTと比べて6%電費を改善し、その分航続距離の延伸をもたらすとする。ロームは日立Astemoに第4世代SiC MOSFETとゲートドライバーICを提供する。

 日立AstemoはEV用インバーターにSiC MOSFETを用いる。同社はホンダのEV向けの電動アスクルや、日産自動車に電動アスクルを供給するジヤトコのインバーターやモーターの受注を2022年に相次いで発表している。

 ロームは2026年3月までのSiC関連の累計案件金額が8400億円に上るとしている。それに合わせ、同時点までに累計1200億~1700億円投資し、生産能力を6倍超(2021年度比)に高める考えだ。